工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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8: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 11:36:11.13 ID:X17K8DuQ0


「あいたたっ。まだまだ練習が必要だなぁ」

 苦笑いをする工藤さんを見て、自分もやっと笑った。
 何もかも突拍子もない子だけど、きっと悪い子じゃない。
 僕はようやく少し落ち着いて、工藤さんがここに来たワケを知りたくなった。

「それで、工藤さんは……」

「忍でいいよっ。みんな工藤さんだし、同い年だし」

「しの、ぶ」

 工藤さんが学校にいっぱいいるのは確かだけど、それでも女の子の呼び捨ては慣れなかった。
 調子を外したあんまりな発音に、工藤さんが吹き出す。

「あはははっ。それで、どうしたの?」

「ん゛っ。……忍は、どうして音楽室に?」

「えっと、ちょっと練習がしたかったんだけど……」

 曰く、家で練習しようとしたら怒られたそうだ。
 外は寒いし、踊ってもいい場所なんかほとんどないし。
 それで、探していたらこの音楽室に辿り着いたとのこと。

「なんで急にダンスの練習なんか?」

 忍は今日突然やってきた。
 ダンス部なんかもちろんこの学校にはない。じゃあ、今までどうしていたのだろう。
 あまり真剣に考えたわけではない。けれど、もっともな疑問だった。


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