70: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:37:54.77 ID:X17K8DuQ0
「えへへ。ありがと」
「次の曲は、アタシの曲でも仲間の曲でもないんだ。カバー曲ってやつだよっ♪」
「アタシはやっぱり夢は叶えるものだって思ってる」
「夢を追いかけてこの場所にたどり着くまでに、いろんな人に助けてもらったんだ」
「それでも信じていることがひとつだけあるの」
「夢を叶える最初の一歩は、自分じゃないと踏み出せないってこと」
「みんなが夢を叶えるのは、みんなが頑張ってるからだって、アタシは応援したい!!」
「大丈夫、ひとりじゃない! いつだってアタシも一緒だよって!」
「それじゃあ、聞いてくださいっ! アイドル工藤忍で……」
『funny bunny』
その曲名が告げられた後、一瞬の静寂が訪れた。
ポップな曲が続いていたから、アイドルらしからぬ選曲だと驚かれたのかもしれない。
その合間を縫うように、静かなギターのリフと力強い忍の声がまっすぐに響く。
どんなコールも歓声も邪魔できない。
この場にいる全員に等しく、誰の耳にも最初のフレーズが届いた。
『キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ』
『風の強い日を選んで 走ってきた』
それはあの日、僕が忍に伝えたかった想いのすべてだった。
僕が忍の旅立ちに贈ったはずの曲だった。
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