工藤忍「おかしなうさぎは夢見て跳ねる」
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47: ◆tues0FtkhQ[saga]
2018/03/31(土) 12:13:47.01 ID:X17K8DuQ0
 

 女の子たちに礼を言って、僕は音楽室に戻る。
 廊下を歩いていきながら、起こったことをひとつずつ整理していく。


 あの日、忍は友達とケンカした後だった。
 自分の夢を語って、何の希望もなく反対されて、それで目元を腫らしてやってきた。

 だからあの時の期待の破片はきっとそういうことだったんだろう。
 きっと素直に応援されないとは分かっていても、それでも努力を知っている人ならという気持ち。
 僕は結果論で言えば、忍の夢を応援してやるべきだったんだ。


 でも僕にはできなかった。
 その理由が、残りの半分が少しづつはっきりとしてくる。


 本当に大切なことは、いなくなってから気付く。


 僕は忍に会いたくて仕方がなかった。
 それは楽しかった日常に焦がれるようなもので、でも全部がそうなわけじゃなくて。
 忍の笑った顔も泣きそうな顔も何もかもが、今でも鮮明に思い出せた。

 また一緒にふたりでギターを弾いて踊っていたい。
 願わくばそれがずっと続いていってほしい。
 高校生の間も、できることならその先も。


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