「それでは、勇者の面接を始めます」
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8: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/03/30(金) 08:17:11.69 ID:hRbC8D020
――――――

先代勇者が、魔王を討伐し世界を救った褒美として
その功績を国からたたえられ、自治領土と爵位を与えられたのは知っておろう?

しかし、勇者が得たものはそれだけに留まらなかった

それは勇者に取り入ることで、勇者の名誉にあやかろうとする
数多の組織や商会が、こぞって資金援助を申し出た結果
勇者には、小国の国家予算に匹敵するほどの資金が流れ込んだ

そして、勇者に取り入ろうとした有象無象の中には
我が女神正教会も含まれていた

当時、教会は一つの問題を抱えていた
この国の国教である女神正教会は、その根幹を揺るがしかねない事態に陥っていた

それは、勇者の神格化にあった

勇者は、魔王討伐において一つの奇跡を成し得ていた
それは決して魔王を倒したという偉業そのものではない
魔王を倒すことは、いかに難しかろうと、圧倒的な力さえあれば誰もが成し得たことであろうからな
教会が問題視した奇跡とは、魔王を倒すための一つの手段として
彼が、女神からの恩恵の授かっていたことだった

誰もが欲してやまないが、女神正教会の歴史上誰一人として手に入れることができなかったものを
彼は手にしていたのじゃ

勇者の神格化は、魔王討伐後に飛躍的に民衆の間に広まっていった
人々は、女神に祈る時間を削り
勇者を崇め奉るようになっていった

我々は、民衆の教会への信仰心が失われていくことに焦り
一つの判断を誤ってしまった

勇者を教会に取り込むべく
彼を『聖人』に認定し、多額の援助を申し出たのじゃ

教会が、勇者の後ろ盾としての立ち位置をはっきりさせることで
彼の奇跡が、彼自身に拠るものでは無く
女神に、ひいては教会によってなされたと民に再認識させることができると目論んだ


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