「それでは、勇者の面接を始めます」
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70: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/04/13(金) 16:44:16.60 ID:/2tjzfVC0

勇者「恋人の家族の敵討ちってのもあるけど、何か大それたことをやってみたいって気持ちもある」

勇者「世界を見て回りたいという好奇心もあるし、この町に飽きたってのもある」

勇者「悲しんでる恋人の姿を、見てられないってのもあるかな」

役人「・・・お前、本気で言ってるのか?その程度の覚悟で、魔王を倒すなんて」

役人「大体、悲嘆に暮れている恋人をこの小さな町に置いていく気か」

勇者「うーん、そこはちょっと考えてるんだけど」

役人「ああ、そうかい。だったら置いてけ、お前の御手付きだが俺が貰ったやらんこともないさ」

勇者「拗ねるなよ。まあ、それはそれで困るし連れて行こうかな」

役人「余計に意味が分からんぞ」

勇者「気分転換させてあげられないかな?」

役人「お前、魔王を討伐しに行くんだよな?新婚旅行に行くわけじゃないんだぞ」

勇者「まあ、無理そうなら何処か安全な場所に置いていくよ」

役人「だめだ、全く理解できん。話にならん」

勇者「そう言うなよ、明後日には立つつもりなんだ。今日は、楽しく飲もうぜ」

役人「いや、本当に意味が分からん。呆れてものも言えん」

役人「大体、お前たいして強くもないくせに」

勇者「それは衛兵として聞き捨てならないなあ。衛兵侮辱罪でしょっぴくよ」

役人「はっ!笑わせる、お前如き貧弱、俺でも吹っ飛ばせるぞ!」

勇者「まあまあ、落ち着いてよ。とにかく今日は楽しくさ」

役人「―――っ!」

勇者「ぐぁっ!」

勇者「・・・ひ、酷いじゃないか、いきなり殴るなんて」

役人「知るか!魔王に殺される前に、俺がぶっとばしてやる!おらかかってこい!」

勇者「ったく、しかたないなあ!」


その日、私と勇者は初めて殴り合いの喧嘩をした
散らばるグラスと、砕けた木皿、けしかける酒場の荒くれ達の声の中
最後に勝鬨をあげたのは、私のほうだった


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