「それでは、勇者の面接を始めます」
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69: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/04/13(金) 16:43:45.01 ID:/2tjzfVC0

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勇者は、魔王討伐の旅に出る前は王都より遠く離れた南西の小さな町で衛兵を務めていました。
当時、町役場に勤めていた私とは年も近かったこともあり。よく二人で、町の酒場に繰り出したものです。
彼の印象は、気弱で虚弱、本当に衛兵として仕事が勤まっているのか疑問をもたざるを得ないほどでした。
また、人一倍強い正義感を持ち合わせているわけでもなく、あくまで食い扶持として衛兵という仕事をこなしているように見えたのです。
そんな彼が、職を辞して魔王を倒しに行くと言い出した時は正直驚きました。

勇者「俺は衛兵を辞めて魔王を倒しに行くことにしたよ」

役人「ば、馬鹿言うなよ。お前に、そんな大それたことできるわけないじゃないか」

勇者「まあ、俺も正直そう思ってるよ」

役人「突然何を言い出すんだよ。あれか、東の村が魔王軍に焼かれたからか?」

勇者「それもあるかな・・・仮にもあそこは、俺の故郷だったし」

役人「・・・ずっと帰ってなかったんだろう?親族でも殺されたのか?」

勇者「俺の家族はとっくに死んでるよ。強いて言うなら、恋人の家族が殺された」

役人「ああ、あの雑貨屋の娘か。かたき討ちというわけか?」

勇者「そんなところかな。彼女はすごい悲しんでるし、できるなら恨みをはらしてやりたい」

役人「・・・はっきりしない奴だな。それに、恋人とは言え他人の敵討ちに命をかけるつもりなのか」

勇者「まあ、理由の一つではあるよ」

役人「俺が聞いてるのは、お前の本心だよ」

役人「飯を食うために衛兵やってるような奴が、どうして今になって魔王退治なんて言い出すんだ」

勇者「うーん、正直、自分でもよくわからないよ」

役人「あのなあ、真面目に聞いているんだぞ」

勇者「真面目に答えているよ。でも明確なものは、特には無いんだ」


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