63: ◆CItYBDS.l2[saga]
2018/04/13(金) 16:40:59.75 ID:/2tjzfVC0
剣聖「だが、あの男は既にそれを持っているように見受けられた。なれば、奴には勇者となる資格はあるはずだ」
剣聖「俺がなれなかった勇者に」
行政官「もしかして、剣聖殿は勇者になりたかったのですか・・・?」
剣聖「・・・」
剣聖「・・・その通りだ。俺は以前、勇者の仲間として諸手を振って大通りを歩くつもりはないと言ったな」
剣聖「あれは嘘だ。見栄を張ったのだ・・・俺は、勇者に羨望の念を抱いていた」
剣聖「俺も、できるならば魔王を倒した一人として皆の喝さいを浴びたかった。それだけ困難な旅だったのだ、褒賞以上の物を求めても罰は当たるまい」
剣聖「だがそれ以上に、俺の後ろ暗い過去がそれを許さなかった・・・」
剣聖「だからこそ、魔王討伐後に俺は苦楽を共にした勇者の下を去ったのだ」
大司教「そうであったのか」
行政官「剣聖殿」
行政官「誰が何と言おうと、貴方は勇者の仲間、いや貴方自身も立派な勇者ですよ」
剣聖「・・・」
行政官「確かに、貴方の経歴は表沙汰にできないでしょう。しかし、貴方は魔王を打倒すという奇跡を為した」
行政官「私は、事を為したものこそが勇者と称賛されるべきだと考えています」
行政官「ですので、私の中では貴方は既に勇者です。少なくとも、この密室の中でならいくらでも誇っていただいて結構です」
行政官「私は、貴方の偉業に惜しみなく称賛を与えます」
剣聖「・・・ありがとう」
大司教「そうじゃのう、お主も裏稼業から足を洗った久しいのじゃ。時機を見て、人々に真実を伝えることも可能じゃろう」
大司教「教会は悔い改めたものには寛大じゃ。惜しみなく力を貸すぞ」
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