千早「賽は、投げられた」
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30:名無しNIPPER[saga]
2018/03/28(水) 16:59:59.73 ID:+0zrf0Mn0


「それは勿体ないよ」


誰かが、そっと私の右手を握った。

私の手を優しく包み、その中にある駒を壊さない様に。


「許せない気持ちが変わらないなら、もうちょっと頑張ってみよう?」

「無理よ。もう、さいころを振る気力もないわ」


突然現れたその声の主は、私を明るく、容赦のない声で立ち上がらせようとした。

私はへたり込んだまま、両手はぶらぶら。

それでも彼女は、私の手を放さなかった。


「さいころを振れなくてもいいよ」

「一歩一歩、進んでいけばいいよ」

「私が、引っ張ってあげるよ」

「またさいころを振れる、その日まで」





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