285:名無しNIPPER[saga]
2018/04/08(日) 03:50:28.54 ID:UnTjGLwD0
「春香のノートだ。中身は見てないからよく分からんが」
「どうして……私に?」
「知らないよ。春香の母さんが、お前に、って言ったんだから」
古い方のノートは、随分前に流行った女の子向けのキャラクターのシールが貼られている。
粗雑に扱えば破れてしまいそうで、鞄にしまうことさえ躊躇われた。
「まぁ見てやってくれよ。わざわざご指名があったくらいだ。ファンレターでも書かれてるんじゃないか?」
そう言ってから、ハッとプロデューサーは腕時計に目をやった。
「やばっ! もうすぐ打ち合わせの時間じゃないか! すまん千早、また今度な!」
「お疲れ様、です」
私の言葉を最後まで聞かず、プロデューサーは慌てて病室を出て行った。
その直後、廊下から看護師の怒り声が聞こえた。
「……どうして、私に……?」
ノートを慎重に抱え、春香を一瞥してから病室を後にした。
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