239:名無しNIPPER[saga]
2018/04/04(水) 22:35:58.80 ID:Uj/nf4tu0
その日から私の日課が増えた。
診察を終えた後、病室へ立ち寄る。
春香が一人きりで眠り続ける、白い部屋へ。
どうやら、ご両親は午前中の内に来ているらしい。
私は椅子に腰かけ、春香と二人きりで他愛もない独り言を続ける。
「今日ね、こんな嬉しいことがあったのよ」
「お昼にこんなものを食べたのだけれど、とても美味しくて」
「昨日たまたま観たテレビが面白かったわ」
嘘で塗り固められた独り言。
私が感じられるはずもない感覚を、あたかも事実のように語りかける日々。
きっと春香が聞きたがりそうな話。
過去の記憶を頼りに、一つ一つ創り上げていく。
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