14:名無しNIPPER[saga]
2018/03/28(水) 16:49:04.42 ID:+0zrf0Mn0
震える手は、さいころを振ることを止められない。
まるで何者かに操られたかのように。
まるで死神にでも魅入られたかのように。
さいころを振る。
『1』
呼吸が荒い。
頬は、何か気持ちの悪い液体で、べしゃべしゃに濡れている。
駒を進める。
マスに書かれている文面は、先ほどとは変わっていた。
暖かさと明るさに満ちていたはずのマス目は、どこにもなかった。
『家族の幸せが途切れる』
『スタートに戻る』
ささやかな幸せは、もう欠片も残っていなかった。
大切なものを失っただけではなく。
かつて注がれていた愛情も、大きく変質してしまった。
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