千早「賽は、投げられた」
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11:名無しNIPPER[saga]
2018/03/28(水) 16:46:19.21 ID:+0zrf0Mn0


マス目に書かれた文字を、震える声で読み上げる。


「弟を、失う」

「5マス、戻る」


何故。

何故、さいころは零れ落ちてしまったの。

何故、私は指の力を緩めてしまったの。


マス目をなぞった赤い人差し指が、震える。

あの子の赤で濡れた人差し指が、震える。

押さえを失った歯が、ガチガチと、震える。


何度も夢だと思おうとしたけれど。

震える歯が時折噛む、舌の痛み。

指先にまとわりつく、赤い粘り気。

鼻先をつく、鉄の匂い。


あらゆる感覚器官が、夢であることを拒絶した。





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