264:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 17:48:36.53 ID:EAF0Yir90
「どうしました?まさか傷口が開いたんじゃ…」
「いえ、大丈夫ですよ。むしろそのお節介のおかげで助かりました。」
そんな礼を述べられて冠城は思わず首を傾げた。
先ほどカイトに伝えたあの言葉。
周りの人たちが光を照らしてくれると…
まさか自分が伝えた言葉が右京自身に招く結果になるとは妙な気分だが悪くはなかった。
「おじさん…さっきとはちがう…なんかひかりがもどってる…」
立ち直った右京に真砂子はそう述べた。
光を取り戻せたと…
まさか最初の頃はぞんざいに扱っていた冠城に救われるとは…
愚痴りながらも右京は満更でもない笑みを浮かべた。
「さあ、行きましょうか。帰りが遅いと角田課長に心配されますよ。」
「そうですね。その前にひとつだけよろしいでしょうか。」
それから右京は真砂子の前に近づき、この少女の瞳を覗き込んだ。
その目はまだ何物にも染められていない純粋なものだ。
まだ少女はこの世の汚れを知らないのだろう。
このまま何も知らない方が案外幸せなのかもしれない。
もしかしたら自分が考えていることは実に馬鹿らしいものだ。
だがそれでも敢えて伝えなければならないことがあった。
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