260:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 17:34:51.05 ID:EAF0Yir90
「ここまでで結構です。どうもありがとう。」
それから数時間後、職員に車椅子を押されて右京は拘置所の建物から出てきた。
外は先ほどの雨は上がったもののまだ天気は生憎の曇り空。
この分だとまた雨が降る可能性が高い。
そうなる前に携帯でタクシーでも呼ぼうと思った時だ。
「闇…ですか…」
ふと、先ほどのカイトとの会話を思い出した。
カイトがダークナイトとして活動するきっかけとなった心の中に宿っていた闇。
それは別にカイトだけが特別なわけではない。
誰もが心の中に闇を宿している。それはこの右京ですら例外ではなかった。
「闇とは…嫌なものですねぇ…」
職員が施設の方へ戻っていき、右京一人になった直後のことだ。
右京自身にほんの少しだけ嫌な思いが過ぎった。
それは不安や恐怖といった負の感情。
3年前の事件、あの時は相棒のカイトが居てくれた。
だからたとえ山村貞子という邪悪な敵が相手であろうと立ち向かうことができた。
だが今は一人孤独の身だ。
かつての相棒だった亀山薫と神戸尊は自らの元を去った。
それにカイトもこの拘置所に収監された。さらに先日の事件で負ったこの怪我。
孤独感とさらに傷の痛みが負の感情に拍車をかけていた。
これがカイトの言っていた心の闇ならば彼が容易く堕ちたのも肯けなくもない。
そう思っていた右京だが、そんな時に誰かが声をかけてきた。
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