207:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 12:51:01.36 ID:EAF0Yir90
「ハァ…ハァ…杉下さん…頑張ってください…もう少しですからね…」
それからロープを伝って上を目指すカイト。
体力に少しは自慢があるカイトもさすがに右京を担いで登るのはかなりの困難だ。
手が痛い。それに自分も体力が限界に近い。しかし手を休めるわけにはいかない。
急がなければ…貞子が…
そう思い必死に登り上がろうとした時だった。
「う゛う゛…あぁぁぁ…」
それはこれまで聞いたこともないような奇声だった。
聞いただけで背筋がゾッとするような奇声が下から聞こえてきた。
こうなれば泣き言なんて言ってる場合じゃない。
急いで登りきらなければ、そう思った矢先のことだった。
「うぐぁぁぁぁ!!」
貞子がロープを驚く速さでよじ登り
あっという間にカイトの前に立ちはだかりその進路の妨害を行った。
「ドウジテ…アナタタチダケガ…タスカルノ…?」
カイトの顔まで近づいて貞子はそう問うた。
何故あなたたちだけが助かるのかと?
自分はこれまで何度もこの生き地獄を抜け出そうと抗った。
だが今まで誰も自分は手を差し伸べてもらえなかった。
それなのに…どうして…
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