112:名無しNIPPER[saga]
2018/03/21(水) 07:15:26.08 ID:EAF0Yir90
「ねえ…本当にふざけるのやめなさいよ!
亨…たぶん謹慎とか言われてふて腐れているだけなのよ。
外に出れないならTVでも観ようか。
昨日新作のDVDレンタルしてきたからさ気分転換に観ようよ!」
「TVねぇ…」
悦子の勧められるままにTVを観ようとしたカイトだがその時…
昨日、精神病院に倉橋雅美を尋ねた際に言われたあの言葉が頭を過った。
『TVの画面から髪の長い女が出てきて自分を殺しに来る。』
「ダメだ!TVを付けるな!?」
「ちょっと…亨…何してんのよ!?」
気が付けばカイトはガムテープを取り出しTVのモニターをグルグルに巻いていた。
自分でも異質に思えるこの行動。
それを見てようやくわかった。あの吉野の部屋で起きた出来事が…
吉野の部屋ではTVのモニターがガムテープでグルグル巻きにされていた。
つまり今のカイトと同じだ。吉野はTVから抜け出ようとする貞子を必死に止めようとした。
「そうか…だから吉野さんは…あんな行動をしたのか…」
ようやく吉野の異常とも思える行動が理解出来たカイト。
だがその一方で事情を知らない悦子はそんなカイトを心配そうな目で見つめていた。
「あのさ亨…アンタおかしいわよ!一体何があったのか話しなさいよ!」
「うるさい!もう俺の事は放っておいてくれよ!」
「…」
「怒鳴ってゴメン…けど俺…本当に余裕無いんだ…」
「わかった、私もう仕事に行くね。」
悦子に八つ当たりのように怒鳴り散らすカイト。
そんな自分の行いに自己嫌悪に陥った。
悦子は何も悪くない。悪いのは自分だ。
カイトは悦子に八つ当たりなんてする気はなかった。
しかし死への焦りが彼を徐々に追いつめていた。
リビングのソファーに寝っ転がり先ほどの悦子への八つ当たりを後悔した。
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