78:1[saga]
2018/03/25(日) 13:42:11.95 ID:CE9RRJAi0
67.定期テスト最終日 放課後
「テスト終わったーーっ!!」
唯先輩がドアを勢いよく開けて音楽室に入ってきた。私は唯先輩よりも試験科目が少ないので早く終わっていたのだ。
「お疲れ様です。どうですか? 出来は」
「ばっちり! 普通に普通だよ!」
唯先輩は妙にハイテンションになってカバンを投げて、ピアノの椅子に座る私の隣りに座った。
「ピアノ弾いてたの?」
「まあ、はい。たまには触ってみたくって……」
唯先輩は閃いたように、
「じゃあ私もギター触ってみていい?」
「いいですけど……」
私はギターを持ってきて、唯先輩に渡した。唯先輩は慣れない手つきで構えると、適当に弾き始める。
「どうですか? 唯先輩」
唯先輩はしばらく黙り、私はただ見守っていた。頼りない影にちょっと大仰なギター。伝説の勇者の子供が剣を握るようなおかしさと、それを調和して絵にしてしまうような不思議さが、そこにあった。
「……いいね、ギター! 楽しそう」
「ピアノも楽しいですよね」
しばらく私たちは無言で唯先輩はギターを、私はピアノを適当に鳴らし、ゆったりとした時間が流れていった。
唯先輩はずっと笑っていた。
「テスト期間が終わったらさ、梓ちゃんとまたこうやってだらだらできるね」
テスト期間中、どの部活も部活動停止期間になり、前みたいにパフェ食べに行こうなんてお誘いが出てくる。今はもうみんな部活に行って、私たちは2人きりで取り残される。
「練習もしなきゃだめです」
「分かってるよぉ〜」
そうだと唯先輩はまた思いついたように
「隣町においしいお菓子屋さんがあるって聞いたんだけど、行ってみようよ!」
「……今日ですか?」
「もちろん! まだ2時だし!」
そうか、定期テストで早く終わったのかと私は割と満更ではなく、
「じゃああと1時間練習してから行きましょうか」
「りょーかいっす!」
バンドコンクールまで1ヶ月。
私たちはまた2人で走り出した。
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