62:1[saga]
2018/03/24(土) 22:51:28.02 ID:N9NZ/oAL0
53.公生side
しなやかに、落ち着いた音が始まる。唯ちゃんの優しいピアノが会場の波を整えていった。会場は彼女たちの色に、染まり始める。
ここは静かだ。
心の中に音だけが響く、彼女たちの世界。身体中がのめり込まれる。
練習より強く、練習よりしなやかに奏でられ、五線譜は2人の意のままに弄ばれた。
ありえない正確性と、圧倒的な表現力。
原曲にないアレンジと、美しすぎる澄み切った音色。
会場はいつの間にか2人のものになっていた。
「なんだこれは……もはや中学生のレベルじゃないぞ……」
隣に座るプロを唸らせる楽器の声。僕はただ彼女たちを見つめる。
……もうすぐ、発作が来る。
「……ん? ピアノが……」
空白を作らないピアノ。その圧倒的な感情の中に、苦しみが混じる。
(唯ちゃん……!)
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