53:1[saga]
2018/03/24(土) 22:32:18.59 ID:N9NZ/oAL0
45.梓side
ーー私は最初から最後まで、梓ちゃんと弾き続けたい。
唯先輩は私の制止なんて聞きもせず、ピアノを弾き始めた。
やはり数十秒後には発作が起きて、唯先輩は気を失った。
公生「君たちはまだ、1人で演奏している」
有馬さんは続ける。
公生「唯ちゃんの発作の原因は多分、孤独感からきてるんだ。誰もいない、ステージには自分1人だってね。だから君が、唯ちゃんと演奏してあげるんだ」
確かに弾き終えることに精一杯になって、お互いのことを意識できていなかったかもしれない。
梓「でも、どうすれば……」
公生「それは自分たちで考えることだよ。考えるって言っても変かな。自然にできるようになっていくべきだと思うよ」
有馬さんは寝ている唯先輩に自分の上着をかけると、
公生「僕が教えてあげられるのは技術面だけだ。でも君たちは技術面に関しては、全国的に見てもかなり高いレベルにいる。だから、文化祭でどんな演奏をするかは、君たち自身にかかってるよ」
私は頷いた。でも有馬さんは気づいていたのかな。
唯先輩は有馬さんが無意識の内に、感性豊かな演奏を教えてもらっていた。あの有馬さんの演奏は、人の価値観を変えるほどのものがあるのだと思う。
では私はどうだろう。
一直線の演奏。面白くない音色。
公生「君の単調さは……」
有馬さんは笑って、
公生「意識しなくていいよ。特に問題はないから」
私はかなり、不安になった。
92Res/82.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20