43:1[saga]
2018/03/24(土) 22:03:45.67 ID:N9NZ/oAL0
35.公生side
女の子だらけで温泉に行くなんてと最初は抵抗が大きかったけど、僕はすっかり女の子に慣れてしまっているようだった。大した不便もなく、それどころか楽しく過ごせていた。
『有馬先生、聞いてますー?』
「聞いてるよ、それで武士がどうしたって?」
凪ちゃんのすっかり酔っ払った声が聞こえてくる。僕は彼女の話に適当に相槌をうち、本を読んでいた。
久しぶりに読みたくなった「いちご同盟」。僕はあの子を思い出す。
『私とコンサート出ろ出ろってうるさくって。それで……』
僕の前に影が見えた。
「中野さん……?」
緊張した面持ち。僕は電話を切って、彼女に笑いかける。
「……有馬さん、お話を聞かせてもらえませんか?」
中野さんはさっきよりも自然な笑みで、
「唯先輩の、過去の話を」
そう僕の目をまっすぐ見つめていた。
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