40:1[saga]
2018/03/24(土) 22:00:35.47 ID:N9NZ/oAL0
32.
公生「重くない? 大丈夫?」
梓「はい、大丈夫です」
缶ジュースを3個、袋に入れて廊下を歩いていた。罰ゲームの買い出しの帰り道だ。
そう言う有馬さんは缶ジュース3個に加え、両手で抱えるくらいのスナック菓子を持っている。
公生「中野さん」
梓「はい?」
公生「僕って怖いかな……?」
え、と私は有馬さんを見ると、彼は困ったように笑っていた。
梓「そんなことないです! ……私が初対面の人と話すのが苦手なだけです」
特に男性とは。
公生「そっか。僕も中学生の時、結構内気で友達あんまりいなかったから、気持ちは分かるや」
有馬さんは優しそうに笑った。
公生「……僕はね、ある日台風みたいな人に出会ったんだ。その人はバイオリニストでね、僕はその人をきっかけにしてピアノをまた弾き始めたんだ。僕の苦手を克服させてくれて、新しい道を切り開いてくれた」
その人は多分、女の人だ。有馬さんの目は、カラフルに物を見ていた。
公生「君……中野さんにとってのその人は、唯ちゃんなんだと思う。同時に唯ちゃんにとってのその人は、間違いなく君だ。そういう人を見つけられた僕も君も唯ちゃんも、どうしたって幸せ者だよ」
有馬さんは、今まで出会った大人の誰よりも柔らかく笑っていた。
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