唯「四月は君の華」
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38:1[saga]
2018/03/24(土) 21:55:00.94 ID:N9NZ/oAL0
30.梓side

唯「梓ちゃん、お背中洗って差し上げましょうか〜?」

背後から変な唯先輩の声ーー否、唯先輩の変な声が聞こえてきた。

梓「結構です。自分でできます」

唯「あれ、怒ってらっしゃる……?」

私は頭を洗いながら唯先輩を横目で見ると、唯先輩の変顔が覗き、思わず吹き出してしまった。

梓「……別に怒ってないですよ。いつもこんな感じです。そういえば、ずいぶん純と仲良くなったんですね」

あ、と唯先輩はまたからかうような声になって、

唯「もしかして妬いてらっしゃる?」

梓「なっ……!」

唯「うそうそ! 冗談だよっ」

純「昔から嫉妬深いですからね、梓は愛が重いですよ、唯先輩」

梓「昔からって、知り合ったの1週間前でしょ」

いつのまにか隣にいた純は、髪をほどいていて別人だ。

憂を探すと、露天風呂の方で椿さんと楽しそうにお喋りしていた。憂は聞き上手だから、椿さんは楽しそうに身振り手振りで話しているのが見える。

梓「憂ってほんとしっかりしてますよね。憂なら椿さんや有馬さんと上手くやれますね」

部屋割りはくじで決まった。有馬さんは一応椿さんと同じ部屋になることにしていたので、実質その2人となる人を決めるためのものだ。もし私が選ばれていたら、結構気まずい部屋になってしまったかもしれない。

唯「えへへ、自慢の妹だよ〜」

梓「妹って言うより、憂の方が姉に向いてると思いますけど」

唯「梓ちゃんしどい……」

梓「思ったことを言ったまでです」

純「まあ私は唯先輩の方が姉に向いてると思うけどね〜」

唯「おっ流石純ちゃん。分かってる〜」

純は適当に言っているわけではないみたいで、単純に興味が湧いた。

梓「純、なんで?」

純は眉をひそめ、手でなにか伝えようとしながら、

純「何ていうか……バランスが取れてるんだよ。憂に妹は合ってる。唯先輩も唯先輩で、姉に合ってる。上手いこと姉妹になったなって感じ」

梓「なにそれ」

純「あんたもだよ、梓」

私が首を傾げていると、純は見透かしたように笑った。

純「あんたこそだよ。よく唯先輩の後輩になったよね。あんたこそ、後輩に合ってるよ」

私は純に理由を聞かなかった。
それは何となく、どことなく、私にも納得できたからだ。



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