61:1[saga]
2018/03/18(日) 22:49:43.85 ID:61wO2nel0
49. 唯side
憂に空間転移なんて通用しなくて。私はワルプルギスの夜に翻弄され続け、殺され続けた。
私が死んでいないのは、多分憂だから。私の、またあずにゃんの急所をつけないのは、ワルプルギスの夜の唯一の弱点だった。
「あれ……?」
また立ち上がろうと、憂の元に行こうとする。私はおもわず笑ってしまった。
「あはは、手が動かないや」
衣装は真っ赤だ。私には魔法みたいな治癒能力がないから、もう一生動かないかもしれない。
このまま死ぬのかな。出来れば、憂と一緒がよかった。
巻き込んじゃってごめん。
私の我儘のせいで。
私があの時奇跡を願わなければ。
傷つくのは、私だけで充分だった。
『違う』
そう、違う。
憂はそう言う。
奇跡を願うことは、息をすること。
奇跡を願うことは、希望を持つこと。
希望を持つことは、絶望に抗うこと。
いずれ終わる私たちが、幸せに、終わること。
「唯……」
声がした。夢、じゃないよね。
「あずにゃん……澪ちゃん……りっちゃん……」
りっちゃんと澪ちゃんは私の頭を撫でてくれる。なんだか日常に戻った気分だった。
そういえば、私は日常を願ったんだった。だからあずにゃんを生き返らせた。私の最期に日常があるのだとすれば、私の選択は間違っていなかったのかもしれない。
最期に笑ってくれるかな。
「ありがとう」
さよなら
夢を見よう。日常を枕の下に置いて、私は眠りについた。
気持ちよく疲れて、満足だった。
親友に囲まれて、私は呼吸をやめた。
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