6:1[saga]
2018/03/17(土) 23:50:44.75 ID:Kkr9l5xs0
3.
「あー! あずにゃん!」
廊下の向こうからあずにゃんがやって来るのが見えて、私はブンブンと手を振った。
「職員室に何か用だったの?」
「え、いや特には……」
あずにゃんは少し気まずそうに手に持っていた紙を隠した。
54点
そんな赤い文字がちらりと見えた。
私が気づいたことに気づいたようで、あずにゃんは目線を下げて小さな声で、
「ごめんなさい」
そう言った。
追試なんて誰にでもある。あずにゃんにも筆の誤りなんだよ、そう冗談を言うのはなんとなく憚られた。
「唯はさ……」
目が合った。彼女はぱくぱくと口を動かすけれども、何か諦めたみたいに口調を変えた。
「唯は、ここまで何しに来たの?」
「あずにゃんを探しに来たのです! 早く通し練習したかったんだよ〜」
私はあずにゃんの腕をやんわりと掴んで引っ張った。
3日後は2年目の桜校祭。
ほんのりと日差しの暖かい、穏やかな秋のことだった。
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