26:1[saga]
2018/03/18(日) 00:12:55.09 ID:61wO2nel0
「いくよ! お姉ちゃん!」
ソウルジェムに手をかける。
綺麗な光に包まれて、あの衣装へ徐々に変化していく。完成に近づく度に、集中力を高めていく。
『あれは手強いよ……気をつけて!』
3人が背中合わせに敵と対峙する。もう手下のようなものに囲まれていた。
「2人とも、任せて」
ムギちゃんは私たちを側に寄せて、鞭を振るい始めた。鞭は十分な回転力を得ると、光を引きずってリボンのように舞った。
「はあああああ!!」
鞭の軌跡は形を帯び、粒子が集結する。いくつかのボール状になったそれらは四方八方に飛び散り、敵に着弾すると爆発する。
さらに鞭による追撃。20体ほどいた使い魔も4体にまで減っていた。
「憂ちゃん、お願い!」
憂は言葉と同時に固まった3体に飛びかかる。
『確かに君は、3人の中では戦闘力は最弱かもしれない』
きゅうべえの言葉が思い出された。
『でも君には、特別な才能と能力が備わっているじゃないか』
私は装置に手をかざす。神経を集中させる。目標は残った4体中憂の行っていない1体。
音を聞く、立体音響。聴覚が私は、常人の時よりも数倍研ぎ澄まされていた。
「いくよ憂!」
攻撃モーションに入る憂。剣の間合いに、4体目の使い魔が「出現」した。
『空間転移、これは結構珍しいタイプだね』
憂は難なく4体まとめてなぎ払い、私たちの元へ戻ってきた。
『それにしてもすごい連携だね、君たち……唯と憂は。打ち合わせもしてないのに……特に憂は、唯のことを本当に信じているんだね』
「当然です。15年間もずっと姉妹なんですから」
姉が何を考えるか、「何を考えられて何を考えられないか」が憂にはお見通しという訳だろう。そこに今日はムギちゃんがいる。失敗しても、カバーしてくれる仲間がいる。
「いくよ、憂」
「うん、お姉ちゃん」
憂は走り出す。ムギちゃんは早すぎる憂のダッシュに、鞭の爆発の推進力で難なく追いついて見せた。
憂は行く手を遮る使い魔は無視。ムギちゃんはそれらを倒さずに払いのけ、憂が進むのを手助けする。
勝負は一瞬だ。私はもう一度装置に手をかざす。
木の枝のようなものは一斉に2人に向かう。木の枝は、2人の方に全て集中する。
そう全て、集中した。
「チェックメイト、だよ!」
魔女の大量の枝が、全て私の目の前に転移した。魔女は丸腰になる。
憂は魔女の目の前にふわりと降り立ち、魔女の首を刎ねた。
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