23:1[saga]
2018/03/18(日) 00:06:09.77 ID:61wO2nel0
21. 梓side
「あずにゃんや、こっちゃおいで」
放課後。教室で部室に行く準備をしていると、廊下から変な唯の声ーー否、唯の変な声が聞こえた。
「どうしたの?」
廊下に出て行くと、同じクラスの琴吹紬さんと、唯が並んで立っていた。
「あのね、今日、新しい友達ができたんだよ! あずにゃんにも紹介してあげるね」
琴吹さんはちょっとだけ困ったような笑みを私に向けてきた。
「おんなじクラスだから知ってるよね、ムギちゃんだよ」
「ムギちゃん?」
「つむぎちゃんだから、ムギちゃん。私が考えたんだよ!」
ふんすと言わんばかりのドヤ顔を見せられても困る。
「あの……魔法……関係の?」
校内で魔法少女というのはなんだか憚られた。
琴吹さんは首を縦に振ると、
「中野梓ちゃんよね。これからよろしく……してくれるかしら……?」
「も、もちろん! よろしくね!」
私はできる限りの、多分引きつってる笑顔で応え、握手した。
「じゃあムギちゃん、また放課後会おうね〜」
「うん、校門で待ち合わせましょう」
バタバタと唯は行ってしまった。
「なんかごめんね、無理矢理」
「いやいやいや! 全然!」
私は嫌だなんて1ミクロンも思ってない。私は昔から、初対面の人とうまく話せないだけだ。
魔法少女。彼女は唯と同じ魔法少女らしい。
そう考えた瞬間、よく分からない感情が生まれた。多分これは、おいてきぼりを食らったときみたいな、そんな寂しい気持ち。
私は彼女の手を強く握って言った。
「唯のこと、ほんとによろしくお願いします……」
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