「私は同級生の乙倉悠貴に厄介な感情を抱いてしまった」
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10:名無しNIPPER[sage]
2018/03/11(日) 23:56:32.73 ID:whiyQo92o



「ゆーきって最近楽しそうだね」

 再放送のように私は先日の言葉を繰り返していた。だけど、その言葉はあの時のような楽しい気持ちではない。だって、悠貴の笑顔を見ていても、今はただ苦しくて、痛い。
 だけど、私はただ、いつもの日常を演じることを努めて行う。いつものように私は悠貴の笑顔を見守り、満足をした振りをする。
 たとえ、どれだけ苦しくて、痛くても。
 私はこの気持ちを悠貴に悟られたくない。
 無邪気で優しくて、純粋過ぎるから、こんな私の邪な想いなんて、知らなくても良い。

「それ、この間も言ってなかった?」

「そうだっけ、そうだったかも。だってゆーきってば、いつも楽しそうに笑ってるから、思わず同じような言葉が出ちゃうのかも」

「えへへ、そうかな。でも、そうかも。だって、やっぱりいつも楽しいもん」

「んふふ、まったくもう、そんな無邪気に笑っちゃって。ゆーきはかわいいなぁ。そんなゆーきの今日の下着は何色かなー?」

「も、もうっ、また。セクハラ厳禁っ!」

「ぐへへ、そないなこと言っても、身体は正直やでー」

「すっごく胡散臭い関西弁っ!」

 平常心を装って、私はいつものように悠貴の下着をまさぐる。これが平常心と言うのは少し特殊な気は自分でもしているけれど、普段の接し方がこれなのだから仕方ない。
 たぶんこれが、私たちの距離感。一方的に茶化してふざけることはできても、踏み込んだことをけっして話したりはしない。浅くて温くて、ただその時その時が楽しいだけ。
 よくある学校のお友達。卒業したら遠くになって会わなくなるような、そんな関係性。
 踏み込むことはできない。今の関係を壊したくないし、今の悠貴でいてほしいから。
 今のまま、とびっきりの笑顔で、悠貴は輝いているべきなのだ。


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