ジャパニーズアベンジャーズ 特撮クロスオーバースピリッツ
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56:魔界岸 ◆WzpMn05TJA
2018/03/17(土) 00:19:50.69 ID:CElREEq8O

鬼は何の迷いもなく、まるで仲間に助けを求めるようにあの場所へとたどり着いた。
しかし仲間の元に逃げて連携し、反撃することを考えられる程の知能を光太郎は戦っていて感じなかったのだ。
つまり身の危険を察知して逃げた先はもう一体の鬼ではなく、親玉のところ……たまたまその途中で自分と別の鬼が対決した場所に行き着いただけ。
逆にあの周辺に二体の鬼がいたとなれば、きっと鬼の親玉は近くにいるだろう……と言うのが光太郎の推理。
光太郎の推理には確かに説得力がある……あの鬼はただ本能のままに攻撃してくる野獣のようなものだと甲平自身戦ってみて感じてはいた。
その分、異常に発達した肉体を備えてはいたが、身体能力にモノを言わせるだけで攻撃は単調で原始的。
だからこそ勝てたのかもしれないが……。

「それをどうしても君に伝えたくて今日は来たんだ 健闘を祈るよ」

光太郎は甲平の肩を優しく叩くと、背を向け、その場を去ろうとする。

「ちょっと待ってくれ!」

甲平は光太郎の前に回り込むと説得を始めた。

「とりあえず早い話しがあんたも地球を守る戦士なんだろ? なら一緒に戦ってくれ」

敵はメルザードではない未知の敵だ……強敵との戦いになればなる程ビーファイターの変身能力が制限されてる以上厳しい。
それに鬼との戦いで感じたことなのだが、久々にビーファイターに変身したブランクも確かにあっただろうが、予想以上に本来のパワーを出せないことにも不安を感じる。
やはりビーファイターの力を使いこなすには代用ではなく、昆虫の精が必要なのを改めて感じたのだ。
そんな不安要素が多い中、戦いに慣れた戦士が共闘してくれれば心強い。
仮面ライダーは正義の戦士のはず……いい返事が帰ってくるものとばかり思っていたのだが、光太郎の言い放った返事は甲平が予想もしなかったものであった。

「悪いがそのつもりはないよ……俺は戦わない」

「あんた仮面ライダーなんだろ!? この鬼が現れたのも闇の意思が動き出したからなんだ! もし本格的に動き出せば間違いなく地球上の生ける全ての命が脅かされることになる あんたはそういう人間や生物たちを見捨てるってのかよ!?」

甲平はあの鬼が現れて人を襲い出したのも、闇の意思による現象の始まりだと確信していた。
昆虫の大量発生は世界各地で起こってはいるが、一番集中しているのは日本。
おそらく、日本を中心にこれから闇の意思による侵食が世界に広がっていくだろう。
そしてその闇はメルザードやジャマールといった敵よりも強大な力を持つことが予想される。
敵は個人なのか、集団なのか、巨大なのか、等身大なのか、それはまだ分からない。
しかし強大で未知数な敵だからこそ自分たちのような戦士が、力を結集して立ち向かわなければならないのだ。
そして何より今回の敵は甲平の友人の命を奪った憎き黒幕……甲平にとってはどうしても倒したい仇である。

「俺は今まで大事な人たちを守るため、そして平和を願い、戦いに身を投じてきた……だが未熟な俺が戦う度に大事な人たちは戦いに巻き込まれ、そして傷つき、死んでいった……もうそんな悲劇を見たくはないんだ……」

その弱気な言葉に甲平は失望し、説得を断念する。

「じゃあもういいよ!」

「力になれなくてすまない……」

無念そうにコスモアカデミアを去る光太郎の姿を見て、情報を持ってきてくれた人に対して声を荒げてしまったことについては反省する。
しかし甲平にはどうしても光太郎の言動が理解できずにいた。
仮面ライダーとして命を守り、闇に立ち向かえる力を持っているはずなのに戦わないなんておかしい。
まず戦わなければより多くの命が失われることになる。
甲平には光太郎が人を傷つけたくない、巻き込みたくないことを盾にして自分自身が傷つけたくないから逃げているようにしか感じたのだ。


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