4: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2018/03/03(土) 23:37:57.25 ID:P/7cf6ip0
花丸「善子ちゃん……?」
善子「Aqoursの皆も最後のイベントだからって張り切ってたけど……ずら丸にとってはここも同じくらい大切な場所なのよね」
花丸「……うん、そうかな」
善子「……困っちゃうわね。この学校、どこに行っても、もう残された時間が少ししかないんだって思い知らされる」
花丸「……そうだね」
善子「……花丸」
花丸「?」
善子「ありがとね」
花丸「……? 急にどうしたの、善子ちゃん?」
善子「……あの日、あんたが見つけてくれたお陰で学校にも戻ってこられて、Aqoursにも入れて……すっごい楽しい1年だった」
花丸「善子ちゃん……」
善子「……あーダメね、折角のずら丸の誕生日なのに、ちょっと湿っぽい雰囲気になっちゃうわね……」
花丸「うぅん。こういう機会じゃないと落ち着いて二人で話すことってあんまりないから……いつも皆が一緒にいたし」
善子「……確かにずーっと騒がしい1年間だったわよね」
花丸「大人しいマルには不釣合いなくらい騒々しい1年だったずら。マルは誕生日もルビィちゃんがささやかにお祝いしてくれるくらいで、誕生会なんて開いてもらえる機会が来るなんて思ってなかったし」
善子「まあ、そんな誕生会をフケてる主賓がここにいるんだけど」
花丸「むぅ……またそこに戻るずら? そういえば善子ちゃんも誕生会やるかやらないかでゴネてたよね」
──7月13日。善子ちゃんの誕生日。
善子「あ、あれは……まあ、結局堕天使の力を持ってしてもその不幸な定めすらも打ち破る──」
花丸「千歌ちゃんに感謝だね〜」
善子「最後まで言わせなさいよ!!」
いつも通り八重歯を光らせながらキシャーと怒る善子ちゃん。
善子「……まあ、その……そのことなんだけど……」
花丸「?」
善子「……もし、よかったら、さ」
花丸「うん」
善子「あのとき……幼稚園で歌えなかったあの歌……今歌ってくれない?」
花丸「え……」
善子「私の誕生日じゃないし、気持ちで十分って言ったけど……あんたの独唱、ちゃんと聞かせてもらったことなかったから」
花丸「……うん、いいよ」
マルは椅子から腰を上げて、ゆっくりと図書室の広めのスペースに歩を運び。
花丸「あの日、歌ってあげられなかったお祝いの歌──今贈るね」
ゆっくりとお辞儀をして、謡い始めました。
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