【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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60:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 09:16:25.88 ID:ueeqel/10
紗夜(羽沢さんの手も少し震えていた。恐らくそれは緊張からだろう)
紗夜(ロゼリアは頂点を目指すためのバンドだと聞いた。そのメンバーの前で、普段は共に演奏をしない相手と楽器を奏でるんだ)
紗夜(羽沢さんの緊張だって小さなものではないだろう)
紗夜(……それなのに私のために祈ってくれるんですね、羽沢さんは)
紗夜(彼女は強い。私なんて足元にも及ばないくらいだ)
紗夜(そんな強い人が隣にいてくれるんだ。共にステージに立ってくれるんだ)
紗夜(これほど勇気を貰えることはない)
紗夜「私は大丈夫です。わがままに付き合ってくれたあなたのためにも、日菜のためにも、私は絶対にやり遂げて見せます」
つぐみ「……はい。一緒に頑張りましょうね」
紗夜「ええ」
紗夜(羽沢さんと頷きあう)
紗夜(大丈夫、大丈夫だ。きっと私はしっかり頑張れる)
紗夜(その場で大きく息を吸って吐いた。気付けば開演の時間だった)
紗夜「……よし」
紗夜(私は気合を入れなおして、ステージへ足を踏み出した)
紗夜(極力、まだ観客席を見ないようにして、ゆっくりとステージの中央まで歩く)
紗夜(そこにはギタースタンドに自分のアコースティックギター、その近くに椅子とマイクスタンドが2つ)
紗夜(その一歩後方の右隣には羽沢さんのキーボードと、同じくマイクスタンド1つがあった)
紗夜(私は一度だけ帽子を深く被り直し、ギターを手に取り、椅子に腰かける)
紗夜(マイクをサウンドホールと顔の前に微調整した。それから少しだけ間を置いて、顔を上げる)
紗夜(観客席からは逆光になるようにステージライトをセットしてもらった。あちらからでは帽子の影で私の顔は見えていないだろう)
紗夜(広々としたオールスタンディングの観客席が眼前に広がる。この辺りでは有数の規模だ)
紗夜(このライブハウスを押さえるのにどれだけ日菜は苦労したのだろうか。頭にはそんな考えが浮かぶ)
紗夜(今日は観客も入れられない、自分のためだけのステージだ。きっと相当な労力が必要だったはずだ)
紗夜(でも……日菜はそんな素振りを全く見せなかった)
紗夜(私からの感謝の言葉を受け取ると、それだけで十分だと言わんばかりの輝く笑顔を見せた)
紗夜(……ありがとう、日菜)
紗夜(心の中でもう一度、日菜に感謝する)
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