【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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42:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 09:05:24.36 ID:ueeqel/10

日菜「ごめんね、ギター弾いてる時に」

紗夜「……いえ」

日菜(よく見るとベッドの上にまっさらな楽譜とシャープペンシル、それとあたしがあげたつば広帽子があった)

日菜(もしかしたら歌を楽譜に起こしていたのかもしれない。だけどおねーちゃんはほとんど喋らないからそれが正しいのかは分からなかった)

日菜「今日はどう? どこか痛いとかない?」

紗夜「……別に」

日菜「ん、そっか。よかった」

日菜(いつも通りの返事だ。顔色もいつもと変わらない、記憶をなくしてからのおねーちゃんだった)

日菜(この状態を『いつも通り』なんて言えちゃうのが……やっぱ辛いな)

日菜(でも、今はそんなことを考えてる場合じゃないんだ)

日菜「……おねーちゃん、実はね」

日菜(口の中が渇いてて声が出しづらい)

日菜(もしかしたら、これはおねーちゃんに悪影響を及ぼすことかもしれない。取り返しのつかないことになったらどうしよう)

日菜(今さらそんな弱気なことが頭の中に浮かんでくる)

日菜(でもここで何もしなかったらずっとこのままかもしれない)

日菜(それだけは絶対に嫌だ)

日菜「今日は、会ってほしい人がいるんだ」

紗夜「……っ」

日菜「つぐちゃん……羽沢つぐみちゃんって言うんだ。すっごく優しくて、あったかくて、面白い子なんだ」

日菜(つぐちゃんから貰った大事なヒント。それを考えて、慎重に言葉を選んだ)

日菜(……今のおねーちゃんは違うんだ、色んな人と交流して、自分を認めてくれたおねーちゃんではないんだ。それをあたしが認めなくちゃいけないんだ)

紗夜「…………」フルフル

日菜(おねーちゃんは言葉が出ないのか、血の気が引いて青白くなった顔を横に振るだけだった)

日菜(その姿を見ると今すぐにでもつぐちゃんと会うのは中止にして、おねーちゃんを安心させてあげたくなる)

日菜(……でも、それはただの問題の先延ばしなんだ)

日菜「……もう、呼んであるんだ。入ってもらうね」

紗夜「……だ、……て」

日菜(小さくかすれた声がおねーちゃんの口から漏れる。きっと拒絶の言葉だ)

日菜(それは分かるけど、でも、ごめんなさい)

日菜(あたしは人の気持ちが分からない子だから、ごめんなさい。おねーちゃんがきっと苦しむだろうなってことだって平気でしてしまえるんだ)

日菜「入っていーよ、つぐちゃん」

つぐみ「……失礼しますね」


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