【バンドリ】氷川日菜「あまざらしなおねーちゃん」
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18:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 08:51:04.06 ID:ueeqel/10

2月8日

 目が覚めても結局私は病院の中にいた。

 そして嫌になるくらい現実を突きつけられた。

 これは冗談でも何でもなく、本当に私は4月から約1年間のタイムスリップをしてしまったのだと。

 タイムスリップ。まさしくそうだ。

 目が覚めたら何もかも分からない世界に放り出された。古いSF映画にでもありそうな主人公の境遇だ。気付かぬうちに私は冷凍睡眠をしていて、未来の文明へ放り出される。

 そして、この世界の私は私ではない誰かなんだ。氷川紗夜であって氷川紗夜ではない誰かだ。

 今日、お見舞いに来た日菜に対してまたきつく当たってしまった。

 だけど記憶の中の日菜と病室であった日菜は別人に見えた。

 あの子は昔から人の気持ちを考えるのが下手で、自分の好きなように動いていた。それが許される天才だった。それ故に私はあの子に劣等感を感じた。

 しかし今日出会った日菜は私の印象とはまるで違う。

 私を気遣い、なんとか元気づけようとしていた。自分の興味本位で動くのではなく、私を思って言葉を選んでいた。そんな姿は今まで見たことがなかった。

 ……あれは本当に日菜だったのだろうか。似通った誰かが日菜の真似をしていたのではないだろうか。

 そんな考えさえ頭の中を巡る。

 そもそも私は一体誰なんだろうか。日菜は一体誰を見ているのだろうか。

 まとまらない考えを書きなぐる日記の横でスマートフォンが震える。

 ディスプレイにはまったく知らない名前が並ぶ。

「湊友希那」「今井リサ」「宇田川あこ」

 学校でもそんな名前を見たことはない。この人たちは誰だ。そして私のなかに誰を見ているのだろうか。

「白金燐子」

 確か同じクラスの生徒だ。しかし会話をしたことはない。いつも物静かに本を読んでいるという印象しかない。

 分からない。分からない。わからない

 私は誰なんだろうか。

 日菜も、この人たちも、私の中に誰を見ているのだろうか。


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