51: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/06(火) 00:25:58.61 ID:AWCgvPWLo
「臭う、臭うで。こりゃ事件の匂いがプンプンや」
「事件?」
「せやろ! プロデューサーさんは電話に出ん。海美の方にも繋がらん。
こりゃあ二人して何処かにしけこんどる可能性も無きにしもあらずのパターンで――」
「あー……。温泉に行こうとしてたところに、海美ちゃんが丁度やって来てそのままついてっちゃったとか?」
「それや! 海美の押しの強さとあの人のヘタレ具合から察するに、その可能性はアリアリやな。……ええ勘しとるで、美奈子!」
ポンと手を打つ奈緒だったが、美奈子は素直に頷けない。
なぜならP氏は腰を痛めているハズである。
治りかけならいざ知らず、まだ腰が痛むであろう初日に無理して遠出などするだろうか?
そのことを奈緒に訊いてみると、彼女は「むむむ」と唸ってこう答えた。
「なら可能性としては居留守やな。私らと顔を合わせられへん二人が声を殺して家の中に」
「待って待って。どうして私たちと顔を合わせれないとかなっちゃうの?
プロデューサーさんはともかく、海美ちゃんは私たちが来るの知ってるのに」
「そりゃ、なんか後ろめたい事でもあるんとちゃう?
人に知られたらマズいような何かが私らのおらん間に巻き起こって――」
その時だ。二人の脳裏にある種の仮説が浮かび上がる。
居場所を隠すあからさまな貼り紙、つかない連絡、男女二人が行方知れず……。
たちまち美奈子の顔からは余裕が消え、
奈緒もあたふたと取り乱しながら辺りをキョロキョロ見回した。
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