16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2018/03/01(木) 20:51:43.23 ID:1Dz8wOupo
そうこうするうちにあっさりと侵入を果たした海美は玄関において靴を脱ぐと。
「じゃあプロデューサー、ベッド行こっ!」
「なに!?」
「横にならなきゃ! ベッドどこ? ソファでなんて寝かせないよ?」
言って、P氏の腕をとったのである。
ここで聡明なる読者諸氏は恐らく覚えておられようが、彼はぎっくり腰を絶賛患い中なのだ。
そんな人間を勢いよく引っ張ってしまえばどうなるか? 答えは手を引く海美だって時間をかければ導き出せる。
が、海美は理解していようがしていまいが「分かった?」と訊かれれば「わかった!」と返してしまう少女だった。
「ま、待て! そんなに強く引っ張ると――」
制止の声は虚しく響く。P氏の腰には激痛が響く。
無理して立っていた彼の膝は間接の曲がる方向へ素直に折れるとそのまま廊下とキスをした。
ついでに崩れ落ちた彼に引っ張られる形で尻もちをついた海美の体は見事にP氏の腰の上へ落ちた。
形容し難い悲鳴が辺りの空気を震わせる。後に氏はこの時を振り返りこう笑う。
「不覚にも、あの時ダルマ落としが決着した」と。
そうして膝から伝わる衝撃と腰に伸し掛かる重量感、
迸る痛みは快感の山野を駆け抜けるとP氏の脳裏に色鮮やかな花をつけた。
眼前に広がる花畑の傍には清らかな川も流れており、数隻の渡し船が岸から岸へ行き来している。
P氏が耳を澄ませばどこからか心安らぐ鳥の声も。
そんなのどかとも呼べる風景の中、心地よい風に吹かれるままぽつねんと佇んでいると
彼に気がついた船着き場の船頭が面倒くさげに振り返った。
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