未来を置き去りにしてバイトをする
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127:名無しNIPPER[saga]
2018/05/28(月) 04:11:22.10 ID:S11ZuKiX0
「やれやれ,ひどい目に遭いました」

ワイシャツ姿になってやっととこさ通り抜けた男仁さんは,スーツを羽織った.

その姿を横目で見ながら,犬井さんは歯切れ悪くも僕に説明してくれる.

「悟は男仁のことを良く思っておらぬのじゃ.なにより,この仕事を引き受けること自体やつは反対なのじゃろうな」

一体全体,その悟と呼ばれる者は何者なのだろう.

港湾管理者であるらしい犬井さんを差し置いてこんな真似ができるなんて,只者ではないことは確かだろう.だが,今の僕には詮索する気はなくなっていた.


ベルトコンベアーがコンテナを運び,そのコンテナの中に荷物を積み込んでいく産業用ロボットたち.彼らは地上に一本足でつながっており,そこから分岐し

たいくつかのハンドがカメラを搭載した頭部のAIによって,制御されているようだ.というのは黒いカバーの付いた頭部を傾げて,運ぶ荷物を認識しているの

が分かったからだ.

それでも彼らの作業スピードは早く,人間ならば持てないような大きさのものでも素早く持ち手を見つけ,軽々と持ち上げてみせているのだから,凄まじい.

「あれでも,スピードは抑えているほうじゃよ.奴らはとんでもなく熱を吐くからの,夏場は空調を効かせたうえで,作業させなければ,すぐにオーバーヒー

トしてしまう.もし今,空調がなかったら,ここは一瞬でサウナじゃ.くっはっは」

「とんでもないですね...」

僕も,犬井さんと握っている手がオーバーヒートしそうだ.男仁さんは,それを見て見ぬふりをしているし,かなり恥ずかしいのは事実.

しかし振り払うわけにもいかず,ぐいぐいとと引っ張られているのだった.



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