128:名無しNIPPER[saga]
2018/06/23(土) 22:30:55.32 ID:1XKYnlun0
倉庫内を巡るベルトコンベアーに沿って,どんどん奥へ向かっていく
「と,ところで,僕たちはどこへ向かっているのでしょうか?」
犬井さんは,僕の持っているスーツケースを顎でしゃくってみせる.
「男仁はそれらを引き渡しに行くのじゃ.もう先方は待っておるからのう.その間ぬしは,ちと儂と戯れようか」
どうやら,昇天斎場のときと同じく僕は現場にはいられないようだ.その間犬井さんが付いてくれていることが先ほどと違う点だろう.
「家には,儂以外に二人住んでいる.が,こちらのことを気に介する暇もないほど忙しいだろうて」
面白くもなさそうに,犬井さんは付け加えた.
それから入口とは反対に位置する倉庫の勝手口の前で,男仁さんと別れることになった.
男仁さんへスーツケースを渡すとき,唇をほとんど動かさず告げた.
「時間はとらないと思いますから,ここで待っていてください.」
男仁さんが立ち去ったのを見届けてから,犬井さんが大きく背伸びをする.
白のワイシャツから胸部がくっきりと浮かびあがる様子をまんじりと見てしまう.
今だけはPAIがいないことを,感謝しなければならない.
「さて厄介な荷物も失せたところで,儂の家へ招待しよう!」
一気に華やぐ彼女にとって,ついさっきの男仁さんの言葉など風の前の塵にすぎないようだ.
僕は
1 「ありがたい話ですが,ここで待つように指示されているので,遠慮させて頂きます」
2 「ぜひ,お願いいたします」(男仁さんの言葉を裏切ることになるかもしれない・・・)
3 「なぜ,犬井さんは僕にそんな親切にしてくれるのですか」(危険な問いだ.だけど,これは僕が一番知りたいことなんだろう)
安価直下
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