未来を置き去りにしてバイトをする
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120:名無しNIPPER[saga]
2018/04/11(水) 00:28:50.86 ID:fXM3dj5i0
灰色の霞がかった曇りが,空に広がる.

それを気象衛星が察知し,当該地域の気温と湿度を鑑みて,天候を予測する.

その情報は,街に瞬く間に広がり,様々な反応を示す.

ビルやマンションの屋外に設置された空調機があわただしく稼働し始めたり,横断歩道に設置された信号機の灯器表示の時間間隔がわずかに変化したりする.

街の息遣いとでもいうのだろうか,街が生き物のように感じられるこの瞬間はついに慣れることができなかった.

ラーメン屋のバイト仲間曰く,この街に住む人々とこの街は鏡であるそうだ.

市民にとってこの街は理想郷であるのに対して

弱者である僕にとってこの街は市民としての権利を行使できない暗黒郷である.

だから,僕が慣れ親しむことができないのは当然なのだとアイツは麺を茹でながら笑った.

それを思い出すと,街にとっての僕は心が通じない異物なのだと,一層強く感じてしまうのだった.


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