121:名無しNIPPER[saga]
2018/04/23(月) 01:15:58.45 ID:etJYgP1F0
大倉庫への道のりは,居心地の悪い静寂に包まれていた.
時折脇を通るトラックは電気を消費して走っているのでガソリンを燃やすようなことはしていない.さらに,歩けば歩くほど人通りは少なくなっている.
大倉庫のある湾岸部周辺は,無機質な工場とその駐車場に占領されつつあった.
そして,その工場から出てくるのは,どれも人型に近いアンドロイドだ.そのどれも頭部には顔が描かれておらず,黒色のカバーによって覆われている.その
カバー越しに,ランプが点灯して,作業をこなしている.移動の中核を担う脚部は正座をしているかのように折りたたまれており,見たところ両脇に取り付け
られた車輪で移動しているようだった.
思わず目を奪われていた僕に,気づいた男仁さんが声を掛けた.
「彼らは,人間より遥かに頑丈で力強いです.ただ,自分で考えることはできないので,そこは人間の出番ですね」
「あのロボットたちは,AIを搭載していないんですか?」
男仁さんは首を振って,答えた.
「彼らは,弱いAIです.命令を聞き,決められた答えしか返せない.かのPCにあたる前世代の遺物ですが,今の産業にそれ以上は望まれていません.
なにせ今の時代人権というものが真らしく囁かれているものですから,燻っている火種は敬遠されがちです」
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