大石泉「気遣う心に、ちょっとだけ下心」
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3:名無しNIPPER[sage]
2018/02/27(火) 23:21:22.31 ID:A9Mm8babo


 がちゃりと、彼が寝息をたててすぐに、部屋に誰かが入ってきた。

 中学生、或いは高校生くらいだろう、黒髪で制服姿の利発そうな少女だ。首には防寒対策にマフラーを巻いているが、その下のシャツはボタンがひとつ開けられていて、胸元が少し緩んでいる。
 少女は彼が担当するアイドルのひとりである、大石泉だ。雑誌の撮影の仕事が終わった後、プロジェクトルームの電気がまだ灯っているのが見えたため、もしかしてと戻ってきたのだった。
 何がもしかしてかと言えば、もしかしてはもしかしてである。
 察してください、ご了承願います。

「あれ、プロデューサーは……あ、寝てるんだ」

 無防備にソファーから両手をぶら下げて眠るプロデューサーの姿を見つけた。
 まったく、と泉は呆れながら彼の眠る横にちょこんとしゃがみこんで、眠る彼の顔を覗きこんだ。朝に剃ったからか、うっすらと髭が生えかけてきている。
 つんつんと頬をつつきたくなる衝動をぐっと堪えてから、そんな衝動を掻き消すべく、泉は彼のデスクを見に行った。
 やりかけの文書作成データがある。つけっぱなしになったディスプレイを無用心だなと思い、電源を落とした。
 さてと、どうしようかな。再び彼の近くまで戻り、しゃがみこむ。規則よく寝息を立てていて、よく眠っている様子がわかる。ちょっとの仮眠だろうに、これほど熟睡できるなんて。疲れすぎだ。
 泉はやっぱり、まったくもうと呆れた声を出して、彼の頬を撫でた。
 なんでも一人でやりすぎなんだから。



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