19:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:07:21.94 ID:q6OJlgc60
「Dランクに留まってる人はそれだけ戦って、勝ってるってことですからね。 勝った分だけ思いを背負ってしまう。 で、その思いが重い呪いになるんです。 どこまでも自分を縛る……」
私は彼女になんと答えだろうか。
思い出せない。
20:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:09:34.31 ID:q6OJlgc60
そんな呪いとなった重い思いで諦めきれなくなってた私の首切り役となった人がいる。
上泉玲音だった。あの時は十五歳だったと思う。
デビューからかすか二ヶ月でランクDまで上がってきたそんな彼女。
21:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:11:22.00 ID:q6OJlgc60
そしてその見立ては正解であった。
同じ舞台に上がったものだから分かる。
彼女は生まれついてのアイドルであった。
22:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:12:28.04 ID:q6OJlgc60
「頑張ってね上泉さん。 あなたならトップアイドルも夢じゃないわ」
「ありがとうございます。 えぇ、恐らくアタシはトップアイドルになるでしょうね。 ……でもそれじゃあ足りないんですよ」
「トップアイドルになるってのに、何が足りないの」
23:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:13:19.51 ID:q6OJlgc60
いつしか彼女は「オーバーランクアイドル」と呼ばれるようになっていった。
日本中が玲音に湧いている中、10年Dランクにい続けた私は、ひっそりと引退の話は決まった。
先のジンクスを知っていた事務所もプロデューサーも、同意した。
24:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:14:14.18 ID:q6OJlgc60
ラジオとコラムの仕事もそれに伴い、終了となった。
楽しかったし、良い評価もいただいていたのだけれども、アイドルを引退する私が、そうやってアイドルで取ってきた仕事をするのはなんか違うように感じられた。
いつでも戻ってきていいよ、と言ってくれたのは救いだった。
25:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:14:57.03 ID:q6OJlgc60
ファンのみんなからのサプライズの合唱だったりで泣かせたり、泣かせられたりした引退ライブは終わり、私たちは事務所へと戻った。
「お疲れ様」
コーヒーと砂糖を三つ渡しながら、プロデューサーはそう言った。
26:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:16:09.60 ID:q6OJlgc60
「無いよ。 やりきった、今はそう思う」
「……そうか、よかった」
沈黙。
27:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:17:02.76 ID:q6OJlgc60
「……タバコはやめとけ。 健康に悪い。『アイドル』としての人生は終わったかもだけれども、お前の人生はまだ長いんだから」
プロデューサーは呆れながらそう言った。
そりゃそうだ、と素直に納得した。
28:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:17:59.68 ID:q6OJlgc60
「私、『アイドルマスター』を取る!」
「……今日、引退したんだよな。 お前は」
「そうだよ?」
29:名無しNIPPER[sage]
2018/02/26(月) 19:18:56.11 ID:q6OJlgc60
『アイドルマスター』という称号は、日高舞がトップアイドル中のトップアイドルになった時に創設されたランクだ。
恐らく玲音は2代目を取ることになるだろう。
そしてこれには逸話がある。
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