21:名無しNIPPER[saga]
2018/03/14(水) 20:57:09.73 ID:I3u4G+NE0
チャイムが鳴る10分前に、教授は講義を終えました。2限は空きコマだから、お昼休みを含めると結構な空き時間があります。
ノートを片づけながら、私はまどかちゃんに尋ねます。
「ね、あの人。何て人か分かる?」
サークルにも部活にも入ってない私にとって、大学内で男性の知り合いは同じ学部の数名や、外国語の講義でペアを組んだ人くらいしかいないのです。
しかし、彼はそのどちらにも属していないのです。だとすると、彼は一体。
荷物をまとめた彼が立ち上がり、リュックを背負うところに視線を向けます。
「あ……」
「何、オトコ? だめよ、学内スキャンダルは」
まどかちゃんは茶化すように言ってきますが、私は気が付いてしまったのです。電車さんだ。彼は紛れもない、昨日とってもお世話になった電車さんなのです。
「どれどれ……あー、コバじゃん、コバヤシ。コバがどうかした?」
「ん、ちょっとね」
「何それ気になる」
そうですよね、普段男性のことを気にすることもない私がそんなことを急に聞いたら気になりますよね。
私のお仕事は夕方からだし、私も彼女も揃って今日の授業はこれで終わりです。たった一コマのために出てくるなんて、我ながら健気な学生です。ほろり。
ブランチで学内のカフェに入り、コーヒーを飲みながら昨日の経緯を説明します。
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