22:名無しNIPPER[saga]
2018/03/14(水) 20:57:42.77 ID:I3u4G+NE0
「へぇー。そんじゃコバが昨日はボディーガードくんだったんだ」
「ボディーガードって。まあ、似たようなものだけどさ」
まどかちゃんは楽しそうにニヤニヤしながら、私に問いかけます。
「何、助けられてドキッとしちゃった?」
「そんなに安い恋愛感情はありません」
というか、男性を好きになったことってどれほどあったでしょうか。アイドルを始めてからは自制してたし、その前も小学生の初恋、みたいなもので止まっています。
華の女子校生はアイドルに費やしていてそれどころではなかったし、男性と付き合ったこともありません。
今時珍しい処女性を貫いているアイドルなんです、私って。処女厨の皆さん、どうぞ私を推してください。
「冗談だって。でもコバ、私もそんなに詳しいわけじゃないんだよね。悪いやつじゃないとは聞くけど」
そりゃ、痴漢から救ってくれるくらいなんだから、悪人ではないことくらいは分かりますけど。
「何ていうか、特に目立たないんだよ。チャラチャラしすぎてるわけでも、ダサすぎるわけでも、痛すぎるわけでもなく。えーっと……」
頭のデータベースで検索しながら話してくれているようですが、中々これだという項目がヒットしないようで唸っています。
「とりあえず現役だから私たちと同い年。うーん……他に紹介できること……」
「ううん、もう十分だよ。ありがとう」
どんな人だろう、と思ってただけでしたし。『俺、アイドルを痴漢から救ったんだぜー!』というようなタイプでも無いようです。それならそれで良し。
うちみたいなマンモス大学だと、私のことを知らない学生ももちろんいっぱいいます。多少売れてるアイドルの端の方なんてそんなものです。
きっと彼もそういう人たちの一部だったのでしょう。派遣のバイトで、たまたま同じ大学の人に当たってしまっただけ。
「少女漫画だったら、ここから恋が始まるところよ?」
「まどかちゃん、私をクビにしたいの?」
茶化しにはおちゃらけで対抗するとしましょう。「ばれなきゃ良いんだって」と他人事のように言うと、彼女は残っていたアイスコーヒーを一気に飲み干しました。
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