彼は普通の人でした
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20:名無しNIPPER[saga]
2018/03/14(水) 20:56:41.49 ID:I3u4G+NE0
受け取ったルーズリーフをファイルにしまい、彼女にお礼を言います。

「私がもっと売れたら、○○くんを紹介するね」

これくらいなら、言っても許されるでしょう。同じ業界の私からしても、彼は遠い世界の住人なのです。夢物語の相手なのです。

「ま、期待せずに期待しとく」

何とも現代っ子っぽい言葉です。いつか、合コンでなくとも、本当にお礼をしなきゃと思います。彼女のおかげで両立できているのは自覚しているのです。

教授が入室し、講義が始まりました。人より休んじゃう機会が多い分、出られる授業は真面目にノートを取ります。適当に受けてると、ネットに何を書かれるか分かりませんしね。

まどかちゃんも、ちゃらちゃらした見た目とは裏腹に、しっかりノートを取っています。

他の学生は、机の下でゲームをしたり、小声で雑談したり。勉強が学生の仕事だなんて、大学生には通用しません。いかに楽しく過ごし、楽に単位を取るか。それが大学生という生き物の本望なのです。

ほら、あそこにいる人だって、コソコソとスマホを弄ってます。

……ん、何だか見覚えのある後ろ姿の気がします。この講義を取るようになって一か月とはいえ、100名近く受講している講義で見覚えのある人ができるというのは、中々珍しい気がします。余程目立つ人ならまだしも、彼はそういう風には見えません。

野暮ったく伸ばしたような髪は傷んでいるのか少し茶色を帯びていて、サーマルを一枚でさらっと着ているのはオシャレなのか、面倒くさがりなのか。

背中と後頭部だけじゃ、どんな人なのか判断するのは難しいです。

うーん、どんな人なのでしょう。交友範囲が広いまどかちゃんに、後で聞いてみましょう。


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