17:名無しNIPPER[saga]
2018/03/04(日) 21:42:42.37 ID:OveROufQ0
握手会が終わると、私たちはバスにのって大きな駅まで移動します。
帰りは外でファンに待ち構えられていると自宅が特定されてしまうからです。何とも半端なセキュリティだとは思いますが。
バスを降りると、何人かのメンバーは「ご飯行く?」「これから遊びに行かない?」なんて話しています。
「ミズキ、ご飯行こうよー」
「ごめん、明日一限あるから」
そうです、私は大学生でもあります。今のご時世、アイドルをやっているだけでは先が怖いものでして。小心者の私は、決して良くはない頭を使って勉強をして、どうにか大学に入ることができたのです。
「そっかー、じゃあまたね」
彼女たちも、一応学生ではあるはずなのですが。アイドルとして忙しい以上に、彼女たちは遊びで単位を落としているようです。
とはいえ、それを責める気持ちもありません。私の大学にだってそうう人はいっぱいいます。ストレートで卒業して、就職さえできればいいと思っている大学生なんて、いくらでもいるでしょう。
彼女達だって、私だって、普通の女の子なのです。
普通でない生き方を覚悟して入った世界なんて、そんな重々しい話はどこにもありません。
クラスで可愛いともてはやされて、ちょっといい気になって興味本位で応募して、たまたま合格してしまった。
本当に、それだけなんです。
なのに、周りの人たちは私を特別扱いしてくれます。
「やっぱりミズキちゃんは可愛いね!」「アイドルは違うなぁ」「大学も通って大変だね」
そんなことありません。大変なことなんて、無い。
周りが可愛がってくれて、普通のバイトよりちょっと大変な思いをするだけで、普通のバイトの何倍もお給料を貰っています。
いや、大変なのかもしれないけど、少なくとも私は大変だなんて思ったことはありません。それはつまり、アイドルに向いてたということなら嬉しいのですが。
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