39:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 01:16:22.39 ID:PoruoH2d0
やがて、持っている紙は全て飛んでいき、手もとに残る紙は一枚もなくなった。
「なくなっちゃった」
「なくなっちゃったね」
「楽しかったであります!」
「こんな遊びがあるなんて知らなかったっス! やっぱかばんさんはすごいっスね!」
「それはどうも……みなさんが楽しんでくれたみたいでよかったです」
こんなに心を落ち着かせることができたのは久しぶりだった。やっぱりかばんちゃんはすごいな、と思う。
でも、どんなに楽しい時間でも、いつか終わりは来てしまう。
こうなると分かっていても、寂しいものはやっぱり寂しい。
できることなら、この楽しい瞬間が永遠であってほしかった。
それが叶うことはない。
紙はやがて底をつく。かみひこーきもいつかは地面に着地する。昼はやがて夜になる。
私は、あの夢を何度も繰り返す――
「サーバルちゃん」
「なっ……何、かばんちゃん?」
「少しは、元気になった?」
「え」
「サーバルちゃん、ずっと元気がなかったみたいだからさ……」
「そ……それは、その……」
私は咄嗟に否定しようとしたが、上手い言い訳をすぐに考えつくほど頭がいいわけでもなく、というかもはや弁明するのも難しく、すぐに言葉を詰まらせてしまう。
「……そうだ、今日はここに泊まろうと思うんだけど、いいよね?」
私が返答に迷っていると、かばんちゃんは先に口を開いた。
かばんちゃんがビーバーたちに目配せすると、二人は何かを察したように頷いた。
131Res/157.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20