20:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 00:43:17.54 ID:PoruoH2d0
「――――サーバルちゃん」
かばんちゃんの声が聞こえて、私ははっと我に帰る。
こちらを向いてこそいなかったが、声色からは様々な感情が滲み出ていて、バスのハンドルを握る手に、僅かに力が入っているのが分かった。
「頭、痛いの?」
その問いが何を意味しているのか、この時の私には分からなかった。おそらく、かばんちゃんは私のことを試していたのだと思う。私が嘘をついているのか、ついていないのかを知るために。
「わ、私はへーきだよ。気にしないで……」
「っ…………!」
その時、私は確かに、かばんちゃんの息が詰まり、微妙に空気が揺れ動いたのを感じ取った。
やりきれない感情が鼻先まで詰まって、息をしようにも上手くできなくなる、そんな動き。
「……あのね、サーバルちゃん。今から言うことに、正直に答えてほしいんだけど」
「何?」
「サーバルちゃんは、どうして――――」
がたっ!
「うわっ!?」
「うみゃあっ!?」
突然、バスが大きく車体を揺らした後、やがて死んだように動かなくなってしまった。
「どうしよう、動かない……」
「何かあったの? バス死んじゃったの?」
「ドウヤラ、タイヤガ挟マッタミタイダネ」
外へ出て確認してみると、ボスの言った通り、バスの後輪が地面の溝にはまり、動けなくなっていた。
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