19:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/20(火) 00:41:42.65 ID:PoruoH2d0
前の座席に座ったかばんちゃんは、静かにバスを運転し始めた。
「無理やり起こしちゃったけど、もっと寝ていたかった? 着くまでまだ時間がかかるから、バスの中で寝てていいよ」
「ううん、私は大丈夫だよ。むしろ――――」
起こしてくれて、ありがとう。
そう言いたかったけれど、直前になって口を閉じた。かばんちゃんに不思議に思われたくなかったからだ。
ジャパリバスの車内は、無人のように静かだった。私が何一つ話さなくなったから、かばんちゃんも声をかけづらいのだ。
かばんちゃんはボスの代わりにハンドルを握っているから、前より自由におしゃべりできないけれど、それでも私たちは、バスの中でいつもたくさんの話をしていた。
出会ったフレンズの話。
周りの景色の話。
ジャパリまんの話。
私が動物だった時の話は、かばんちゃんにしかしていない。
今は何も話す気が起きず、ただただ気怠い。
それに加えて、頭にずきずきと痛みを感じる。
バスの中で横になろうにも、頭の痛みは治まらず、余計に意識がそこに集中される。
それでも、寝たらまたあの夢を見ることになるので、そうなるよりはよっぽどいいのも確かだった。
「っ………………ううっ……!」
バスの中で横になってからしばらく経っても、痛みは一向に治まる気配はない。
……それどころか、痛みが少しずつ増していっている。
頭を刃物で突かれるような痛みが、奥深くまで突き刺すような痛みに変わっていた。
「ぃ…………っ!」
言うつもりは無くても、痛みが走ると条件反射のように苦痛の声をあげてしまう。
両側から挟み込むように手を置いて、少しでも痛みから気を逸らそうと、私は必死になっていた。
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