5: ◆J2O9OeW68.[sage saga]
2018/02/10(土) 20:00:26.24 ID:4m3755de0
ふと奈緒さんの方に視線を向けると、熱心だったクロワッサンはいつの間にかすっかり食べ終えた――と言っても、皿にはまだ二、三個残っている――ようで、目が合った。
突然の言葉に戸惑っている私を面白がるような、そんな見え透いた色が頭上に浮かんでいる。
腹立つなぁ。
そんな様子を見てしまうと、そもそも事の発端は奈緒さんにあるわけで、どうして私が頭を悩ませているのかという気持ちになってくる。馬鹿馬鹿しい。
だから、私は思い切って直接訊くことにした。
この程度で恥ずかしがっていて、演技なんてできるものか。
「奈緒さんって……、私のことが好きなんですか?」
少し躊躇ってしまったが、ちゃんと言えた。
もしこれがドラマの収録なら、間違いなくNG扱いされていたところだろうけど、幸いなことに、これは現実だ。
何が『幸いなことに』だ。
不幸中の幸いもいいところだった。
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