7: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2018/02/09(金) 23:50:53.88 ID:DwZz2Xwp0
暗い。冷たい。そして、静かだ──。
1年前と同じ。今年もこの海は変わらない。
2月の海は水中での保温性の高いウェットスーツを着ていても、その冷たさを主張してくる。
落ち着く。冬の海だ。
* * *
高校生になって2度目の冬──またしても冬は後半戦に突入しているけど。
最近はなんだか一人でいることが多い。
放課後とかは千歌が曜ちゃんと一緒に淡島まで回覧板を届けにくるけど。
それでも一人の時間が増えた気がする。
──ブーブー
そのときスマホが振動した。
果南「……誰だろ」
メールを開いて確認する。……ダイヤだった。
そこには簡潔に『果南さん、お誕生日おめでとう御座います。』とだけ
果南「律儀だなぁ……ダイヤらしいけど」
私も簡素に『ありがと』とだけ返信する。
気付けば、ダイヤとも余り喋らなくなった気がする。
ダイヤが生徒会に入ったからだろうか……。
──いや、本当はわかっている。
私はお気に入りのイルカのぬいぐるみを抱きしめて、天井を仰いだ。
なんだか何もかも、全部……“あのとき”に置いてきてしまったかのようで──
果南「……しょうがないじゃん」
私は一人、そう呟いた。
* * *
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