70:名無しNIPPER[saga]
2018/04/06(金) 18:14:01.35 ID:LZXIfz580
貰った飲み物のお返しと自分用のガムを買い、お店の外に出た。
私のことを気にしてか、彼は部室を出てからずっと一歩前を歩いてくれている。
視界が心許ないとは言わなかったのに。もしかしたら部長さんとそういう話をしたというのは……まあ、ないよね。
吹きさらしの渡り廊下に夜風が吹き抜けていく。
彼が何も羽織らなかった流れで私もほぼ寝間着のような格好で外に出たから、ちょっとだけ肌寒い。
「少し寒い?」と前方から声が掛かる。
そう言葉にして問われると、余計に寒気が忍び寄ってくる。口を手で覆ってはあと息を吐いてから、頷く。
あのさ、と言おうと距離を詰めると、同じタイミングで彼が振り返った。
「どうかした?」
「あ、うん。……えっと、歩きながらでいいかな?」
確認を待たずして、彼の隣に並ぶ。
訊きたいことはたしかにあったけれど、顔を見られている状況で話せることでもない。
いや、普通に考えてもう流れてしまったことだし、あの時点で私は部長さんに何も訊ねなかったのだから、今になって未来くんに訊ねたところで何一つわからないとも言える。
言える……が、あの行動の意味を──普段から意味なんてあるかわからない人だけれども──知りたいと思ってしまうのは間違いではないはずだ。
校舎に入り、息を整えてから口を開く。
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